もう一昨年のことになるだろうか。パレスハウステンボスの冬の風物詩になったライトアップイベント『光の宮殿』のチェックのために、深夜、ひとりでパレスを訪れた時だ。
前庭の芝生に、おっきな野ウサギがいた。
1匹だけで、だらっと寝そべって、後ろ脚も伸ばして、ぼーっとしている。
こちらを見たような気もしたが、逃げる気配はなかった。夜の散歩だろうか。
ハウステンボスでは動物ものんびりしている。

これはいつだったか忘れた。
いま「ウインズ佐世保」の壮麗な建物がたっているエリアがまだ工事中だった頃、そこは緑の高い壁で囲われていた。
これも夜遅くに、やっぱりひとりで帰っていた時だ。
道路の反対側から何かが走って来た。
黒くて太ったネコぐらいのその影は、猛ダッシュで壁に激突。下の隙間に潜り込みそこねて身体をしたたかに打ち、慌てて別の隙間を探しに走って、そっちからどうにか潜り込んで消えた。
間違いなく、タヌキだった。
街中に出るんかい。

それで思い出したのだが、場内で飼っているオランダ原産馬フリーシアンホースが最初の子馬を産んだ頃のこと。
オランダ人スタッフが夜の見回りを強化してくれるように頼んできたそうだ。
彼女いわく、「だって、キツネが出るのよ! 子馬に何かあったらどうするの!?」
馬も赤ん坊の頃はキツネにやられたりするそうだが、その時、タヌキやイタチはともかく、まさかキツネが出るとは思ってなかった日本人スタッフは皆こう思ったらしい。
「(ねぇ厩舎長・・・、『タヌキ』って動物知ってる?)」
でも誰も『タヌキ』に該当する英語ないしオランダ語をおもいつかず、黙っていたそうだ。

で、そんな話をしていたら、同僚から教えてもらった。
「カナルカフェ」という、運河を巡る遊覧船でお茶とケーキをいただくというちょっと優雅なクルージングがある。彼がそれのウェイターをしていた頃の話。
運河の土手に、キツネがいたという。
「やけに尻尾のぶっとい犬だなぁ・・・・」と思ってよくよく見たら、キツネだったそうな。
これも芝生の生えた斜面に寝そべって、ぼーっとしていたらしい。
おいおい。

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