今ハウステンボスでは、スペイン有数の実力派フラメンコチーム「フエゴ・デ・エスパーニャ(スペインの炎、の意)」選抜メンバーによるロングラン公演を開催中! メンバーは総勢12名の大所帯で、激しくも巧みに操られる炎のようなステップ、切なくかき鳴らされるギター、そして魂を揺さぶる力強い歌声。ヨーロッパの街並みで繰り広げられる芸術的なフラメンコは「なんでオランダでスペインなの?」とツッコミを入れていた人も、見終わった頃にはパルマ(手拍子)を叩いているほどのアツさ。小さい女の子が、ステージを思い出しては何度も自分のスカートに手を添えて踊りながら歩いていたり、上品なおじいさんおばあさんのグループが見終わった途端にバイラオールやバイラオーラ(フラメンコダンサーのそれぞれ男性・女性の呼称)にヘンシーン、立ち上がったその場で互いに踊り始めたりと、もう影響力ありあり。
彼らによるフラメンコ教室も開催されていて(要予約)、なかには毎年来てくれる『超イケメン』の男性ダンサーめあての若奥様も・・・いたりして。
女性の情念がこれほどまでに激しくも力強い美に満ちているのかとか、男性ダンサーの鍛え上げられたしなやかな肉体の舞いにセクシーさを感じたりとか、皆さんの感想もいろいろですが、そんな「フエゴ・デ・エスパーニャ」のメンバーに関するエピソードをひとつ。

最初にダンサー3人で来日した年、人気沸騰の男性ダンサーをはさんで、いかにもロマ(ジプシー)の血をひいていそうな凄みのある美人姐さんダンサーとは対照的に、まだどこかティーンエイジャーのあどけなさを残した女の子ダンサーがいました。体型もすこし健康的で、「色白のぽっちゃりさん」、つまりとても可愛いのです。この三人に無理矢理ストーリーを作ってみれば、大切なカレシを謎の美女に誘惑されて戸惑う純真な小娘、といったところでしょうか。
素顔の彼女は、その若さ故にとても練習熱心で、ディナーショーが終わればフラメンコチームは帰って良かったのに、ひとり練習室に残って鏡に向かい激しくステップを踏み続けていました。寂しくなるとスタッフの事務所をおずおずと覗き込み、「あの・・・私、練習室にいるから・・・最終の送迎バスが出る前には、私にも声かけてください・・・」と、おぼつかない英語で我々にお願いしたり。とってもいい子なんです。
と・こ・ろ・が。
彼女にはひとつ、どこかで聞いたような弱点がありました。
 甘いものがだ〜い好き!!!
夏に来日したせいか、とくにソフトクリームに超ハマってしまい、彼女がハウステンボスの通りをぶらついている時は必ず、ソフトクリームを握りしめて美味しそうにパクついている始末。自主練習も結構なのですが、事務所に遊びに来る彼女の手には必ず「ダイエットでない」コカコーラが。
ちょうどその頃「フラメンコで痩せる!」なぁんてダンス・ダイエットが雑誌でブームになりましたが、運動する以上に食べれば太るわけで。
公演終了間際には、「背中のジッパーをあげてくださる?」といえば聞こえはいいですが、衣装のジッパーをあげる際には彼女の他にもうひとりふたり付くようになってしまいました。せーので息を吸ってもらって、イキオイであげるわけです。おかげで衣装はピッチピチ。
「ダメだよ〜、これじゃあ!」といっても・・・あんまり効き目なし。しかも、次の年に再来日した時には、ちゃあんとその体型を維持していた始末!
その年の公演の終わりには、ひょっとすると彼女のフラメンコ生命の今後は・・・とスタッフはため息を付きながら見送ったのでした。
と、ここまでが最近どこかで聞いたような話。
しかし、です。
今年、彼女はパワーアップして帰って来たのです。肉付きのいい身体を見事な「グラマラス・ボディ」に変えて!
いまや、押しも押されもせぬ実力派バイラオーラ。練習の成果もあってそのダンスは凄みを増し、もう「小娘」なんていわせません。立派な「女」です。
人気トップのイケメンダンサー(男性)との掛け合いも、付き合いが長いこともあって超絶妙。客席を魅了する妖しい眼差し、豹のようにしなやかな手や腰の動き、そしてなによりセクシーなボディ、そしてそこだけがどこか少女らしい、赤い靴の似合う見事な足さばき。
努力に勝る天才なしって、ホントなんですね。これからも頑張って欲しいものです!

フエゴ・デ・エスパーニャのハウステンボス公演は、11月9日まで。必見ですよ!

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