運命と偶然

2002年7月16日
会社で、携帯の電源が切れた。だましだまし使っていたが、退社前になってついに入らなくなった。
やれやれ、家に帰ったら充電しないと、と思いながら、車に乗った。
霧のような雨が降っていた。
気持ち良く音楽を聞きながら、アップダウンの山道を走らせていると、ポータブルMDプレーヤーが、「ピーッ」という警告音とともに、不意に沈黙した。
・・・今日は「電源運」の悪い日なのかなぁ。
静かな車内で、そんなことを考えながらハンドルを握っていると、突然前からかすかな「キキーッ」という音がした。
見る見るうちに、前の車との間隔が狭まった。
ヤバい!と思う間もなく、前のセダンがその前の軽自動車にゆっくりと追突した。
ドスン、という鈍い音を聞きながら、急いでブレーキを踏んだ。
こちらは、どうにか追突は避けられた。追突されることもなかった。

あの時、MDプレーヤーが止まらなかったら。
いつものように、大音響で音楽を聞いて気持ち良く飛ばしていたら。
私はあの軽の急ブレーキ音に気づいただろうか。

悪魔はいつもそこいら辺で口を開けて待っている。
そして、天使も。

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